さだまさし『修二会』歌詞から、お水取り東大寺の情景を読み解く。松明・良弁椿・南無観世音・女人結界・青衣の女人・達陀

お寺めぐり

さだまさし『修二会』お水取り東大寺を語る

さだまさしさんといえば、東大寺コンサートでも数多く出演され奈良好きとしても有名です。
修二会 響く1272年の祈り」「お水取り、その光と影」で語ります。


さだまさしオフィシャルサイト より

さだまさし『修二会』の歌詞とは

 

引用:さだまさし『修二会』

春寒(はるさむ)の弥生 三月花まだき
君の肩に はらり良弁椿(ろうべんつばき)
ここは東大寺 足早にゆく人垣の
誰となく独白(つぶや)く 南無観世音(なむかんぜおん) 折からの名残り雪

君の手は 既に凍りつくして居り
その心 ゆらり 他所(よそ)にあり
もはや二月堂 天も焦げよと 松明の
炎見上げつつ 何故君は泣く 雪のように火の粉が降る
走る火影 揺れる君の横顔
燃える 燃える 燃える おたいまつ 燃える

過去帳青衣(しょうえ)の女人(にょにん)の名を聴けば
僕の背に 君の香り ゆらめく
ここは女人結界(けっかい) 君は格子の外に居り
息を殺して聞く 南無観世音(なむかんぜのん) こもりの僧の沓の音

振り向けば 既に君の姿はなく
胸を打つ痛み五体投地(ごたいとうち)
もはや お水取り やがて始まる達陀(だったん)
水も清めよ 火よ焼き払えよ この罪 この業(かるま)

走る火影 揺れる あふれる涙
燃える 懲える 燃える 松明燃える
走る火影 揺れる あふれる涙
燃える 懲える 燃える 松明燃える

さだまさし『修二会』歌詞から解説してみます

春寒(はるさむ)の弥生、名残り雪

春寒とは、暦で立春2月以降でもぶり返してくるような寒さ。余寒よりも春への思い入れが強い季節の言葉です。季語では(しゅんかん)とも呼びますが、歌に乗せる言葉はやまとことばが似合います。
暦で弥生三月3月1日になっても、まだまだ寒いのが奈良盆地。昔は手水が凍るくらいに寒い時期もあったそうです。練行衆の皆さんが昔からこの厳寒に耐えて行を行っていたという歴史もまたすごいことです。
名残り雪

修二会(しゅにえ)

本尊に対して自らの悔過(罪の懺悔告白)を行うこと。
東大寺二月堂で行われるものが「お水取り」と有名ですが、修二会は、奈良各地のお寺でも行われていて、法隆寺や薬師寺、新薬師寺、長谷寺、薬師寺「花会式」と行われています。
お水取りとお松明はこちらの記事で解説しています。

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松明(たいまつ)

お水取りといえば松明と思われているほど、有名です。修二会を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな松明(たいまつ)で先導します。その後に見られる松明の炎はみなさんがこぞって見たい理由です。
お松明のための大きな竹は、有志で奉納されますが、毎年さだまさしさんも樫舎さんご主人も奉納されています。このお松明を震災地に復興祈願として届けた伝説も残ります。おふたりの逸話はこちらの記事にあります。
https://megurinowa.com/narakashiya-162

良弁椿(ろうべんつばき)


東大寺二月堂の堂内に飾るため、練行衆たちが赤白の和紙で花びらを作る 花拵え(はなごしらえ)があります。その花のモデルとなったのが、良弁椿です。


東大寺開山堂のそばに咲く深紅に白が混じった花弁が糊をこぼしたようなので、別名糊こぼしとも呼ばれています。
奈良で期間限定のこの椿にちなんだお菓子の記事です

お水取りの椿?椿のお菓子?糊こぼし良弁椿とは?開山良弁椿・良弁椿・南無寒椿
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南無観世音(なむかんぜおん)

宝号(十一面観音の名号「南無観自在菩薩」)を繰り返す声明の唱句。
南無(なむ)とは「帰依する」という意味で
南無観自在菩薩(なむかんじざいぼさつ)は「観音に帰依する」

声明(しょうみょう)
はじめは なむかんじざいぼさつ「南無観自在菩薩」が繰り返され・・・
そのうち なむかんじざっ「南無観自在」が繰り返され・・・
あげくに なむかん!「南無観!!」って叫びます。

 なむかん! この声明を聞いたときに野球部員がグラウンド駆けながら掛け声を合わせて走っている感じだなあと思いました。十一人だけど。

女人結界(けっかい)

東大寺二月堂の堂内は女人禁制で、内陣に入れるのも男性のみ。
ですが二月堂正面から入る局(つぼね)エリアだけは格子越しに聴聞(ちょうもん)に参加することは女性も可能なのです。お香水(おこうずい)を配られるときは、みんな格子越しの手を差し出します。ひとつひとつの手にお香水が注がれて、それも貴重な体験です。

青衣(しょうえ)の女人(にょにん)

過去帳の読み上げの中に登場する青衣の女人
過去帳を読み上げる僧の前に青い衣の女が現れ、読み落としを責められた以降、過去帳には青衣女人が加えられて、読まれるようになったとか。
聴聞では、とりわけ、この箇所に聞き耳をたてて楽しみにされています。
アニメファンからは、風の谷のナウシカではないか説も出た青衣。ただし当時の青は緑の意味だったようですが。

五体投地(ごたいとうち)

走りの行法をしながら、途中抜けては、板の上で跳びはねるように体を浮かし、片方のひざを板に打ち付ける。これは我が身を打ちつけ、多くのひとびとの代わりとなって懺悔します。
その音はすさまじくて、二月堂の外にいても聞こえます響きます。

お水取り

行中の3月12日深夜(13日の深夜1時半頃)には、二月堂前の若狭井(わかさい)という井戸から観音さまにお供えするお香水(おこうずい)を汲み上げる儀式が行われます。

達陀(だったん)

松明の猛火で邪気を祓い福を招く儀式で、3月12から3月14日の3日間行われます。
二月堂内陣の中を、大きな松明が走り回り、最後は礼堂に松明が投げ出されるので驚きです。ちょっと演劇小舞台を見ているような不思議な感じです。
無事終わった15日朝を迎えると、行中で使われた達陀帽を子供にかぶせてくれる姿も風物詩です。


映像18:14ごろから

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